医療法人の理事退職金制度を活用していますか?(2)
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
前回は医療法人の理事退職金制度についてお伝えしました。
今回はさらに深く、注意事項などをお伝えします。
医療法人に現預金でお金を貯めていても退職金制度のメリットが出ない
理事退職金は医療法人にお金を貯めておき、理事を辞めるときに受け取ります。
その税率は通常の個人の税率よりはずいぶん低いのですが、高額の退職金を受け取るときには約20数%の税率になることがあります。
医療法人にお金を貯めると、税率は個人よりも低くなりますが、それでも20~30%程度の税率になります。
例えば医療法人で30%課税され、退職金受け取り時に25%課税されたと仮定すると、以下の計算式で手残りのお金を計算することができます。
100×0.7×0.75=52.5
手残りのお金は52.5%になります。
これでは、そこそこ高額の理事報酬を受け取った時の手残りのお金とそれほど差はありませんので、個人でお金を貯めておいたほうがいいかもしれませんね。
理事退職金制度のメリットを出すには、医療法人に現預金でお金を貯めるのではなく、生命保険などを利用して節税しながらお金を貯めておくと効果的です。
お金が貯まって、保証もあるのですから一石二鳥です。
が、ここでも注意することがあります。
退職金制度ありきで生命保険に加入すると危険
それは、理事退職金制度ありきで考えないということです。
医療法人を設立すると退職金制度を活用しなければならないと考えてしまい、いきなり多額の保険に加入することがあったりします。
これは医療法人や個人のお金が不足する大きな原因になることがあり、大変危険です。
まず、家計を賄うのに十分な理事報酬額を計算し、それを払っても医療法人に利益が出るのであれば生命保険の利用を検討しましょう。
その時にも医療法人のお金が回るのかを十分検討して、過大な保険料を払うことのないよう注意しましょう。
税理士事務所やコンサルタントの中には保険代理店もしていて、クライアントのことを考えず過大な生命保険の加入を勧めるところもあるようですので、十分注意してください。
さらに詳しくは以下の記事をお読みください。
「医療法人を設立したら生命保険に入らなければならないのか?」