MS法人で退職金を積み立てる?
MS法人を設立されている先生がたくさんいらっしゃいます。
医療法人は医療法で行える業務の範囲が定めれれていますので、医療法人で行えない業務を個人事業として行うことも多いようです。その業務の規模が大きくなってくると法人にするケースが多いようです。社長は奥様や身内の方がなっておられるケースが多いようですね。
医療法人とMS法人の間に取引関係がある場合には、MS法人の社長や役員が医療法人の理事になれないケースがありますので、人選には注意が必要です。
MS法人を作られている場合、節税を目的にされていることも多いようです。所得の分散ができるので、設立をされるケースが多いようですが、注意も必要です。MS法人に貯まった利益は最終的にどうするのか?管理コストはどれぐらいかかるのか?など十分にシミュレーションをしましょう。
先日ご相談をいただいたケースでは、医療法人を設立、取引のないMS法人も設立されていて、奥様が社長になっておられました。先生・奥様の退職金の積立を目的として生命保険の加入の提案がありました。MS法人で大きな保証に加入をするというものでした。
このケースには様々な問題がありました。利益の額、キャッシュフロー、経営の安定性などです。また、奥様はMS法人から給与をわずかしかもらっていませんでした。先生はMS法人の役員にはなっていません。どのように積み立てたお金を退職金で払おうとされているのか理解できません。法人の経費で認められるだろう退職金の額はそんなに大きくならないのです。最終的に大きく課税されてしまい、スキームの意味がなくなってしまうのではないでしょうか。
節税を考える場合、入り口はもちろん、途中経過、最終出口をどうするかを良く考えていないと意味がなくなってしまうこともあります。注意しましょう。