医療法人の分院の院長先生が退職をすることになりました。管理者が不在でも他の医師がいれば診療をすることは可能でしょうか?
ドクターよろず相談所の近藤隆二です。
ある医療法人の理事長先生からご相談をいただきました。
「分院の院長先生が独立をすることになり、常勤医師が不在となります。
週2日勤務のアルバイトの先生が一人いますので、その先生が来る日だけ継続して診療を続けたいと思いますが可能でしょうか?」
管理者が不在では診療を行うことはできません。
今回のケースでは、分院の院長先生が管理者になっていました。
アルバイトの先生は現在、他の病院にも勤務しているため管理者になることができない状況です。
医療法第10条、15条には以下のように書かれています。
第10条 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師に、歯科医業をなすものである場合は臨床研修等修了歯科医師に、これを管理させなければならない。
第15条 病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない。
これから管理者が不在の場合は管理や注意ができない状態ですので、医療を行うことはできないことがわかります。
また、診療所を休止した時には10日以内に保健所に休止届を提出しなければなりません。
また、新たな管理者が着任した場合には診療をすぐに開始することができますが、その場合には再開届を10日以内に保健所に提出します。
この場合、医療機関コードは以前のままになります。
併せて、保健所に診療所開設届出事項一部変更届を、厚生局には保険医療機関届出事項変更届を提出します。(管理者、保険医の変更)
分院の管理者は医療法人の理事になる必要がありますので、医療法人内での理事の退任・就任の手続きを行い、都道府県に退任・就任の届出も忘れないようにしましょう。(医療法第47条)
第47条 医療法人は、その開設するすべての病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の管理者を理事に加えなければならない。ただし、医療法人が病院、診療所又は介護老人保健施設を2以上開設する場合において、都道府県知事の認可を受けたときは、管理者(指定管理者として管理する病院等の管理者を除く。)の一部を理事に加えないことができる。
管理者が不在になり、診療ができない時も、家賃や人件費などの経費はかかります。
収入が途絶え、経費がかかると医療法人の経営に大きなダメージを与えることになります。
このようなことにならないよう、分院の院長先生との勤務条件をきちんと決めておき、退職する場合には早めに申告をするなど、対策をたてておきましょう。
また分院長と日々のコミュニケーションを十分とり、信頼関係を築いておくことは言うまでもありません。
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