医療法人で子供の医学部の学費を払うことはできるのでしょうか?
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
先日、将来医療法人を設立したいというドクターからご相談をいただきました。
その時にお聞きした医療法人設立の最大の目的は、
「お子さんの医学部の学費を医療法人で支払うこと」
とのことでした。
先生の同窓の方々から、「医療法人で学費を払える」という話を聞き、それなら医療法人を設立しようと考えられたようです。
確かに医療法人で学費を払うことはできるのですが、それが医療法人の経費になり誰も課税されないということではありません。
条件をクリアしていないと、払った学費は医療法人の理事長に対する給与として課税されることになるのです。
これでは理事長が給料をもらって学費を払うのと変わりはありません。
また、この学費が理事長に対する賞与と判断されると、医療法人の経費とはならず法人・個人ダブルで課税される危険性があります。
また、特定の人のみの学費を支払うと医療法では禁止されている配当行為と捉えられ、法律に反する危険性があります。。
大きな病院などでは奨学金制度などを作って学費を負担していることもあるようですが、個人クリニックでこのような制度を作るのは困難かもしれません。
学費の支払いを目的に医療法人を設立しても意味がなくなるかもしれませんので、税制や医療法などを確認して慎重に検討してください。
税制については以下でご確認いただき、よくわからない場合は顧問の税理士さんにご確認ください。
「『所得税基本通達の制定について』の一部改正について(法令解釈通達)」の趣旨説明(情報)
この件について動画でお話していますので、以下でご覧ください。
医療法人で子供の医学部の学費を払うことはできるのでしょうか?