失敗しないクリニック経営を「はやぶさ2」に学ぶ
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
先日、小惑星リュウグウの探査を行う「はやぶさ2」が2度目の着陸・内部岩石の採取に成功しました。
しかし、この成功の舞台裏には様々な葛藤や問題が多くあったようです。
このことを詳しく伝えたテレビ番組を見て、なぜ「はやぶさ2」が成功できたのか、その要因はクリニックの経営の参考にもなると思いましたので、レポートをお届けします。
「はやぶさ2」は2月のリュウグウへの着陸成功の後、トップの意向で2度目の「着陸は行わない」との方針も検討されたようです。
2月には、最初の着陸でリュウグウ表面の岩石を採取できたと見られています。さらに4月、金属の塊を小惑星表面に打ち込み、世界で初めて人工クレーターを作ることにも成功しました。もし、2度目の着陸に失敗し、地球に帰還できなければ、これまでの成果が無駄になってしまうと危惧されていたからです。
「帰ってこられなければ、はやぶさ2の成功は0点になってしまう。1つの失敗は数年規模の(日本の宇宙科学の)停滞を招いてしまう。軽々に難しいミッションを行った上で探査機をロストする(失う)ことは、とても許されることではない。」
という強い危機感があったのです。
しかし、「はやぶさ2」の2度目の着陸は実行されました。
なぜそのような結果になったのか。
それは、まだリスクがあると2週間の延期を決断し、チームで着陸の安全性をさらに高めるため詳細な分析を再び進め、着陸のシミュレーションを10万回以上行い、安全に着陸できると判断できるデータをまとめられたからなのです。
そして、当初は後ろ向きだったトップも、
「数字(リスク)が安全範囲内に入っているので、これはGOであると。彼らの実力を、これまで研究してきた成果を最大級投入して、いい成果をあげてほしい。」
との判断を下すことになったのです。
実は最大のピンチは2月の最初の着陸の時でした。降下直前、トラブルのため降下を開始したのは5時間遅れ。小惑星が自転しているため予定の場所に着陸できないおそれがあったのです。
しかし、このピンチも「計画したとおりにやるというセオリー」を捨てて乗り切ることができたのです。
この決断を支えたのが、周到な準備。何度も繰り返してきた訓練の経験でした。はやぶさ2の動きをコンピューター上で再現するシミュレーターです。
数百通りのトラブルを組み合わせて、訓練ごとに全く違う状況を設定し、トラブルの原因を本番さながらに究明する実践的な訓練を、2年間にわたり何度も繰り返してきたのです。
しかも、実際に起きたトラブルよりも過酷な状況を訓練のたびに設定していたのです。
あるプロジェクトメンバーはこのように語っています。
「絶対に大丈夫ですと言い切ることは出来ないとは思っていますが、それを言い切るのに近いところまで自信を持つために、限られた時間の中で、出来る限りの訓練をやりました。こだわって模擬したことによって気付けたところはありました。」
そしてプロジェクトリーダーはトラブルに見舞われていた最初の着陸でも、訓練でも経験していた状況だったので乗り越えられると考えていたのです。
プロジェクトリーダーはこのようにも語っています。
「どうしなきゃいけないって考える想像力がみんな自然に身に付いていた。ひとつひとつの作業は全部的確で、皆さん自信を持って判断している状態が保てていたと思うんです。このチームは本当にすごいと、このとき思いました。」
この番組のゲスト、青山学院大学陸上競技部監督の原晋さんはこのように語っています。
「宇宙開発ほど、我々のマラソンはそこまで大きなものではありませんけれども、全てはスタートラインに立つまでの「準備」と「こだわり」だと思います。そういう点で言えば、共通項は大いにあるのかなと思います。我々も幾とおりのシミュレーションをしますからね。」
また、この成功の要因には、600人を束ねるプロジェクトマネージャに4年前、当時30代の若手を抜擢したこと、他にも「批判勢力を取り込む」「周到な準備」「外部人材を登用」するなど、巧みな組織運営があったのです。
このテレビ番組を見て感じたことは、自分の「想い」を明らかにして「準備」を周到に行うことの大切さです。
特にクリニックを開院する前にはリアルなシミュレーションをして、開院をするべきかどうか、経営を軌道に乗せるためにはどうすれば良いのかを繰り返し考えることが必要だと思います。
また、これは開院後に多額の設備投資を行うときにも言えることです。
クリニックの経営を行うときには、必要に応じできるだけ具体的な事業計画を作り、何度もシミュレーションをして経営判断をされることをお勧めします。
今回の記事はNHKクローズアップ現代
「はやぶさ2 密着! 快挙の舞台裏」を参考にさせていただきました。
詳しい情報は以下で御覧ください。
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