【今日の質問】クリニックに院長先生とフィーリングのあわないスタッフがいます。辞めてもらうことはできるのでしょうか? 【答え】はコチラ⇒
おはようございます。
ドクターよろず相談所の近藤隆二です。
今日のご質問は医療法人の理事長先生からいただきました。
常勤スタッフの中に、クリニックのモチベーションを下げる人がいます。
理事長先生ともフィーリングがあわないようです。
そのスタッフに辞めてもらうことはできるのでしょうか?
とのご質問です。
【答え】
可能ですが注意が必要です。
誰でも簡単に解雇できるわけではありません。
労働基準法(以下「労基法」。)では、以下のように定めています。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労基法18条)」
「就業規則に「解雇の事由」を記載する必要を義務づけ(労基法89条)」
「労働契約締結時に「解雇の事由」を書面交付により明示(労基法15条)」
「労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。(労基法22条)」
あらかじめ解雇の事由を就業規則や労働契約書で明確にしておき、誰もが納得できる理由があれば解雇は可能ということです。
ただし、解雇にはリスクが伴うことも事実です。
解雇した職員が労働基準監督署へ訴えたり、誹謗中傷を受けたりすることも少なくはありません。
最悪の場合には解雇が無効になることもあります。
解雇が無効になると、解雇した日から無効と認定された期間の給与を支払わなければならないこともあります。
また職場から解雇者が出ることは他の職員にも動揺を与えることもあります。
こういったトラブルを防ぐためにも突然の解雇は避けるようにしましょう。
職員との解雇理由の意見の食い違いをできるだけ少なくするためには、問題の行為(例:遅刻が多い。他の職員との協調性に欠ける等。)に対して、その都度注意を与えるということです。
その行為が問題ある行為だということを共通認識にしなくてはなりません。
口頭ですと証拠が残りませんので、書面かメールがおすすめです。
クリニックの考え方を指導している記録を残しておくことが大切なのです。
こういったことを積み重ねていき、それでも改善されなければ解雇もやむをえないこととなります。
大事なことは、雇用する時に規則や院長先生の考え方をきちんと伝え、納得して働いてもらうこと。
そして院長先生の考えを伝え続け、自院にふさわしいスタッフになってもらうことです。
できるだけ解雇などのトラブルは避けるようにしたいものです。