「ジャパネットたかた」に学ぶ、クリニック情報発信の重要性
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
ジャパネットたかた創業者、髙田明さんの
「伝えることから始めよう」
を読みました。
先月の日経新聞「私の履歴書」に髙田さんが執筆されていて、素晴らしい経営者だと感じ、この本を読んでみましたが期待を大きく上回る内容でした。
事業の規模は違いますが、経営に対する考え方や行動の基準はそのままクリニックにもマッチします。
クリニックの経営をこれから始める方、既に経営されている方を問わずお勧めしたい本です。
この本の中には示唆に富んだ内容が数多く散りばめられています。
参考までにその一部を以下に紹介します。
以下引用
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今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない。
一生懸命に今を生きていると、課題が見えてくる。
「長期的なビジョンを持たない積み上げ経営」
「長期計画のない経営」
「目標を持たない経営」
軸足を置いていたのは、とにかく「今」です。今できることに最善を尽くす。そこから、次のステップが見えてくる。
目標と呼べるようなものがあったとしたら、それは、とにかく昨日よりも今日、今日よりも明日、今年よりも来年と売り上げを伸ばし、成長を続けていくという強い想いでした。
今を一生懸命に生きて、見えてきた課題を一つずつ克服し、すべてスモールステップを積み上げてきただけでした。
今日売れたものが、明日は売れないということはよくあります。長期の目標だけにとらわれてしまうと、そこに危機が潜んでいるということもあると思うのです。
ビジネスはお客様に価値のあるものを提供し、対価として金銭を頂戴することで成り立っています。買っていただきたいのは、もちろん利益を上げるためでもありますが、それだけじゃありません。
「伝える」ことだけではなく「伝わる」ことを本気で考えていた。
お客様目線で独自のサービスを確立する。
何のために伝えるのか 感動を届ける、幸せを届ける
自分の側から相手を見る視点
相手が私を見る視点
自分自身の姿を、離れた場所から客観的に眺める視点
自己更新を続ける企業
オンリーワン企業
社員の満足がなければ、顧客満足は得られない
不易流行
理念を守れば、経営方針は180度変えていい
夢や目標は途中で変えていい
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引用終わり
何となく高田さんの経営がイメージできたでしょうか?
その中から、今日はクリニックの情報発信に関する内容を詳しくお伝えします。
ジャパネットたかたが販売している商品は、パナソニックやシャープ、東芝などナショナルブランドがほとんどで、どこでも買えるものばかりです。
しかし、ジャパネットたかたがその大部分を販売している商品が数多くあります。
同じ商品なのに、他ではあまり売れないものが多くあります。
中には全く売れず、不良在庫になっていた商品が爆発的に売れたという事例もあります。
これは不良品を騙して売りつけたということではありません。
お客様にその商品のことをわかりやすく、「伝わる」ように話した結果、他では売れなかったものを多くの方に買っていただくことができたのです。
商品の性能を詳しく「伝えて」いるのではありません。
その商品を使うことでお客様がどうなるのか、どう変化するのか、どう幸せになるのかを、情熱を持って「伝わる」ように話しているのです。
具体的なお客様のイメージを持ち、その人に向かって話しかけているのです。
伝える目的はお客様が良くなること、良く変わることなのです。
これは言葉で言うのは簡単ですが、実際に行うのはなかなか困難です。
医療の世界の情報発信は患者さんには理解しにくい専門用語や書き方をしていることが多く、成果に結びつかないな、と感じることがよくあります。
その結果、医療者と患者さんの間の情報格差は大きく開いたままで、健康や医療、治療に関する正しい知識が持てていない患者さんが未だに大勢いるのではないでしょうか。
適切な健康管理・病気の理解、受診がされないため治療が長引き、医療費の増加につながっているのではないかと感じることもあります。
公的機関や大学病院、大病院などが重大な病気以外の情報をきめ細やかに伝えることはなかなか困難だと思われます。
またこれらの施設では文章の書き方はどうしても専門的でわかりにくくなってしまいがちです。
私はここにクリニックの情報発信の重要性を感じます。
日々の健康管理や様々な病気・症状などの情報をわかりやすく、患者さんに「伝わる」ように発信をする。
これは患者さんにとって安心で大変ありがたいことです。
患者さんは正しい情報をわかりやすく伝えてくれるクリニックに感謝し、信頼を寄せるでしょう。
そして、何かあった時にはそのクリニックを受診しようと考えるのではないでしょうか。
ジャパネットたかたが、どこでも買える商品を他よりも多く販売できるように、決められた内容の保険診療でも選んでいただける方法の一つがこの情報発信だと思います。
皆さんはどんな想いで、どのような情報を患者さんに伝えたいと思いますか?
「伝えることから始めよう」書評を以下でご覧ください。
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