院長先生、スタッフ間の溝を埋める手法「アシミレーション」
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
クリニックを経営する時に最も重要なことの一つは、チームを整えることです。
具体的にはクリニックのスタッフが明るく前向きに働くことができる環境を整えるということ。
そして、そのためには院長先生とスタッフの間でコミュニケーションが十分取れていて、信頼関係が築けていることが欠かせません。
しかし、言葉で言うのは簡単でも実際に信頼関係を築くのはなかなか困難です。
先日、開院したばかりのクリニックで、悪化した院長先生とスタッフの関係性を改善するためのお手伝いをしました。
初めて「アシミレーション」という手法を活用したところ大きな成果を得ることができましたので、レポートします。
このクリニックでは、開院準備時のちょっとしたすれ違いから、スタッフが院長先生に不信感を持ってしまいました。
そのため、日々の挨拶や診療時のやり取りがギクシャクしてしまい、どんどん関係性が悪化してしまったのです。
院長先生には悪気はないのですが、スタッフが一度持ってしまった悪い感情はなかなか解消しませんでした。
そこで、「アシミレーション」というミーティング手法を活用することにしました。
これは、院長先生・スタッフ全員で行うミーティングですが、その方法に特徴があります。
具体的にはこんなステップで行いました。
・オリエンテーション(全員) 5分
・スタッフからの意見収集(院長先生退出) 50分
院長先生について知っていること
院長先生について知りたいこと
院長先生に知っておいてほしいこと
こうすればクリニックはもっと良くなること
・院長先生へのフィードバック(スタッフ退出) 10分
・院長先生から全員へのフィードバック 20分
・全員一言ずつ感想 5分
ここで重要なことは、クリニックをよくするためのポジティブな意見を出せる環境を整えることです。
そして、クリニックを良くするためなら何を発言しても咎められない安全な場作りをすることです。
そうしないと本音の話は出てきませんので、ミーティングを行う意味がなくなってしまいます。
この手法の良いところは、「誰が何を言った」ではなく「スタッフ全員の総意」をまとめて院長先生に伝えることができることです。
そして、それに対してリアルタイムで院長先生のフィードバックを行うことで、院長先生の方針や思い、なぜこうするのかなどの根拠を伝え、お互いにあった誤解を解消し、納得を深め、関係性を改善することができます。
こんなことは日々その都度話し合えば良いと思うかもしれませんが、それができない環境があり、不満や不信感が蓄積することがよくあります。
これを放っておくとのっぴきならない状況になりかねないので、早めに解消するということです。
このミーティング後もしばらくはスッキリしない状況が続いたようですが、現在は院長先生、スタッフとも改善の意欲が高く、少しずつ関係性は良くなっているようです。
このクリニックでは現状を素直に受け止め、行動する環境が整っていますので今後が期待できると思います。
このような問題が発生した時、私はこれまでスタッフ全員の個別面談を行い、全体像をまとめ、院長先生に伝えて改善の相談をしていました。
この方法でも成果は出るのですが、フィードバックまでに時間があいてしまうため改善意欲が下がったり、本音の意見をうまく伝えられず本質的な改善につながりにくいこともありました。
これからは状況に応じて、これらの手法を使い分けていこうと思います。
アシミレーションについて以下をご覧ください。
新リーダーが一瞬で溶けこむ組織開発手法:GEも実践する「アシミレーション」とは
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