人手不足時代のクリニックスタッフの採用・マネジメント
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
先日、私の所属する医業経営研鑽会の幹事会がありました。
この会は医業専門の専門家や企業の方々が会員で、日々医業経営についての情報やノウハウなどについて学び続けている私にとって貴重な場です。
その幹事会に参加された方々数名に以下の質問をしてみました。
「クライアントのクリニックでスタッフの募集をしても応募があまりないのですが、皆さんのクライアントではいかがですか?」
答えは、
「自分のクライアントでも同じような状況です。」
というものでした。
そして、これまでも看護師さんの人手不足は慢性的でしたが、受付スタッフも同じような傾向になってきているということでした。
世の中では人手不足と言われて久しいですが、医療業界も例外ではないということですね。
先日、あるクライアントの院長先生の奥様から恐ろしい話を聞きました。
日々通っているカーブスの壁にインストラクター(何の資格も必要ないものです)募集のチラシが貼られていたとのことです。
その時給が1,400円とのこと。
結構高額で、他業種も人手不足で給与を上げてでも人材を確保しようとしていることがわかりました。
このような状況では、すぐにもクリニック経営の考え方を変えなければならないのではないかと感じています。
これまではやめる人がいれば補充すればいいや、という感覚の方が多かったように思いますが、それを改めるということです。
クリニックは特殊な例を除いて、医師一人では運営することはできません。
看護師はもちろん、受付スタッフなど多くの方々の協力がないと成り立たないのです。
皆さんのクリニックで現在のスタッフのうち、何名かがいなくなって補充できないことを想像してみてください。
業務が回らず大変なことになると、ぞっとするのではないでしょうか。
このような人手不足の状況では現在のスタッフを大切にして長く働きレベルアップし続けてもらうことが重要です。
看護師さんはもちろん、受付スタッフも大切にしていただくことは言うまでもありません。
私はクリニックの受付業務は相当高度でハードな仕事だと考えています。
受付や会計、電話対応などに加え、接客、クレーム対応なども行わなければなりません。
患者さんが多くなると休む間も無く考え動き続けなければなりません。
このような仕事に応募してくれる方は、この業務が好きか、何らかの想いを持っている方が多いと感じていますので、貴重な人材と言えると思います。
ここでいう大切にするということは甘やかすということではありません。
正面から向き合い、自分の考えていることをちゃんと伝え、スタッフの考えていることをよく聴き、クリニック全体をみんなでよくしていく環境を整えるということです。
これは簡単なようでなかなか難しいことです。
院長先生の多くは朝から晩まで診療をし、診察室にほとんど滞在しているためスタッフの様子がよくわかりません。
また患者さんが多くなり忙しくなると、どうしてもスタッフとコミュニケーションをとる時間がとれなくなってきます。
そのような状態を放っておいたため、様々な問題が発生しスタッフの退職が多発するような状況をこれまで数多く見てきました。
ですので、私は診療時間を削ってでも院長先生とスタッフ、スタッフ同士がコミュニケーションをとる時間を作っていただくようクライアントにお願いしています。
そして、この時間は食事会のような単なるガス抜き目的ではなく、みんなで現在の課題を認識し改善策を考え行動するための時間にすることが重要です。
短期的には診療時間が減り、経営に影響が出るかもしれませんが、このような経営努力を続けているクリニックとそうでないクリニックの間には長い間に大きな差が出てくると思います。
そして、努力を続けたクリニックが患者さんから選んでいただきやすいことは明らかではないでしょうか。
現在の人手不足という状況をさらに良いクリニックを作っていくためのきっかけと捉え、今後の経営をどのように進めていくのか一度考えてみてください。
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