個人でクリニックを開設しています。医療法人の設立申請をしたのですが、残余財産が国や地方公共団体のものになるので、やめたほうがよいといわれました。本当でしょうか?

今日のご質問は個人でクリニックを開設しておられる先生からいただきました。

個人でクリニックを開設しています。医療法人の設立申請をしたのですが、残余財産が国や地方公共団体のものになるので、やめたほうがよいといわれました。本当でしょうか?

医業経営が順調で、税金も多くかかるようになったので、医療法人の設立申請をしました。

税理士さんから、現在の医療法人は解散する時に残余財産が国や地方公共団体のものになると聞いたのでやめたほうがよいと言われ、申請をとりやめました。

とりやめてよかったのでしょうか?

という内容です。

【答え】

医療法人を解散する時に、残余財産が国や地方公共団体に属するということは本当です。

ただ、そのことと医療法人を設立したほうがよいかどうかは、分離して判断したほうがよいと思われます。

今回のケースでは、院長先生のお子さまが医学部に入学しておられ、医療法人の後を継ぐ予定です。

またご次男も医学部を目指しておられます。

財産が国や地方公共団体に属するのは、あくまでも解散する時になります。

医療法人が継続するのであれば、このことを気にする必要はありませんね。

また、医業を承継する時には新たな設備投資や複数家族の報酬を賄わなければならないなど、多額の資金が必要になります。

個人の最高税率と医療法人の最高税率には大きな差がありますので、法人に所得を分散することで多くの資金を蓄えておくことができます。

今回のケースでは医療法人を設立したほうが、年間数百万円の資金余裕ができるという試算になりましたので、再度医療法人の設立申請をすることになりました。

医療法人を設立するかどうかは、一つの判断基準だけではなく、様々な観点から是非を検討する必要があります。

将来、どのようなクリニックにしたいのか、プライベートではどのような生活を送っていきたいのかなど、将来のビジョンを明確にし、そのためにはどちらが良いのかを判断するようにしましょう。

医業の経営計画と個人のライフプラン。ファイナンシャルプランを総合的・長期的に考えることをお勧めします。

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