よい医療をしていさえすれば、患者さんは来てくれるのだろうか?
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
開院して一年、医業経営に苦戦しているクリニックがあります。
院長先生にお話を聞くと、
「よい医療をしていれば、患者さんは来てくれるから大丈夫。」
とのこと。
しかし、現実はよい医療をしていても患者さんがなかなか増えず、経営は苦境に立たされています。
今後、経営がうまくいくめどもたっていません。
よい医療をすることは医療機関として当たり前のことです。
そうでなければ患者さんは来てくれません。
世の中のクリニックはその上で、様々な工夫や努力をしています。
このようなクリニックの院長先生の参考になる本がありますので、紹介させていただきます。
「今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略」 佐藤可士和 著
私の故郷、愛媛県今治市は日本最大のタオルの生産地でしたが、海外の安価な製品などに押され、生産量が最盛期の五分の一に激減。産地消滅の危機に立たされていました。
しかし、そこから様々な行動を起こし、「今治タオル」のブランドを築き上げてきました。
行ったことはシンプルです。
「自分たちの本質的な価値を見極め、それをわかりやすく伝えていった。」
これだけです。
しかし、自分の本質的な価値は自分ではよくわかりませんでした。
そこで、佐藤可士和さんの力を借りて自己認識を改めていったのです。
行動がブレた時には厳しく修正をしてもらえたことも大きな力になりました。
これはクリニックの経営でも同じことです。
「自院の本質的な価値(強み)を明らかにして、わかりやすく伝えていく。」
ことが重要です。
そしてその価値に共感してくれる、マッチする患者さんに来ていただくことです。
佐藤さんはこのようにも言われています。
「ないものを付加するのではなく、元々あるものを磨くこと。これが本質的価値を見極めたブランディングである。」
「いいモノをつくっているだけでは売れない」という現状は、本質をつかみ、ていねいに正しく伝えていくことで、「いいモノをつくっているからこそ売れる」という未来に変えることができる。
この「いいモノをつくっている」を
「いい医療を行っている」に読み替えてみてください。
そのままクリニックの経営に応用できる言葉だと思います。
ご一読をおすすめします。