IT企業「サイボウズ」に学ぶクリニック経営の未来

ドクター総合支援センターの近藤隆二です。

先日、IT企業「サイボウズ」さんの企業見学をさせていただく機会に恵まれました。

サイボウズさんはすでに大企業と言って良い規模ですが、その経営の考え方はクリニックの経営にも大いに役に立つと感じましたのでレポートさせていただきます

サイボウズは1997年に愛媛県で創業。社員3名からのスタートでした。

今は一部上場企業となり「働き方改革」の先進企業と言われていますが、決して最初からそうだったわけではありません。

10年前のサイボウズはバリバリのITベンチャーでハードワーク、長時間労働で社員の離職率28%(一年間に4人に一人が退社)という、今でいうブラック企業のような状態でした。

この当時、売り上げは40億円で数年間横ばい状態でしたが、社員の働き方改革をすることで、現在離職率は4%に改善、売り上げは100億円までに成長しています。様々な制度も充実させ、出産で退職する社員はゼロになったとのことです。

では、なぜサイボウズは働き方改革に踏み切れたのでしょうか?

それは、会社の存続が危ぶまれる崖っぷちに立たされてしまった・・・具体的には人手不足で業務に支障が出てきたため改革せざるをえなかったからです。

当時のサイボウズは退職率が高いにもかかわらず、中小企業であるため人材の採用に苦戦していました。

また、新たに社員を採用すると莫大な教育コストがかかっていていました。

この苦境を乗り切るには、入社した社員に残ってもらわなければならない。

そのためにスキルを持った人材が定着しやすく、退職し・休職した後にも戻って来やすい環境を作る必要に迫られたのです。

このような環境はまさに現在のクリニック経営を取り巻く環境と全く同じですね。

では、サイボウズはどのようなことを行ったのでしょうか?

働き方を変えるために3つの要素を整えていったのです。

3つの要素とは、1)制度 2)風土 3)ツール です。

「制度」とは会社のルール。「100人いたら100通りの働き方」という考えに基づきユニークな9つの働き方制度を作りました。

「風土」とは会社で共有されている無意識の価値観。サイボウズの理念は「チームワーク溢れる社会を作る」ことに貢献することです。日々のコミュニケーションが会社の良い風土を作っていく。個人個人の仕事内容やメール、スケジュールなどを共有することが当たり前で善であるという価値観を育んでいきました。

「ツール」とは日々のコミュニケーションを支えるもの。サイボウズは情報共有ソフトウェアを作る会社で、ツールを活用した情報共有が十分できる環境でした。

これらを整えることで、社員一人ひとりが自分にマッチした働き方ができるようになり、社員同士がお互いの状況を理解でき、協働できるようになったことでそれまでの労働環境が改善されていったようです。

また、サイボウズの給与水準はIT業界では平均より少し低めとのこと。社員には「給与」だけではなく「働き方」も含めて価値を提供しています。その結果、高い給与をもらえれば良いという人は辞めていき、サイボウズで働きたくても働けなかった人が残ってくれたということが印象的でした。

これらの改革は言葉で言うのは簡単ですが、実行するのはなかなか困難だと思います。

なぜこのようなことができたのかを追求していくと、創業者の一人である青野社長自身が変化したことが最大の要因の一つだったのではないかと感じます。

この当時、青野社長は第一子の出産に伴い、育児休暇をとったのです。

そして、その時に「育児は人類最大の仕事」だと感じ、「自分はこれまで会社人だったが、社会人ではなかった」と語ったとのことです。

この出来事は青野社長の仕事や人生の価値観に大きな変化をもたらしたのではないでしょうか。

青野社長は大学の工学部出身の優秀なエンジニアでした。

それまでの経営は「社会ってこういうものだよね」という思い込みで行っていましたがそれではうまくいかず、経営の危機・育児休業を取ったことをきっかけに、自分の感性にマッチする経営手法にシフトできたのではないでしょうか。

これと同じように、医学の世界で生きてきた医師が気づきを得て、新たな価値観で経営に取り組むことは十分可能なのではないかと感じます。

青野社長は風土を育むために幹部社員の会議に出席し話し合いに耳を傾けながら、組織の価値観に反する発言には厳しく注意をするとのこと。

ある幹部が「〇〇のような社員は、こうなのでは?」という趣旨の発言をしたところ、青野社長に「類型化するのは良くない。100人いたら100人の働き方が当社の価値観なのだから」という趣旨で注意されたとのことでした。

サイボウズの風土を育んでこられたのは青野社長のフィードバックの力が大きかったという幹部社員の話が印象的でした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

大変密度の濃い見学会でしたが、十分お伝えできていないこともあると思います。

ご関心がおありになる方は青野社長が書かれた以下の本を手にとっていただければと思います。

「チームのことだけ考えた」―サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

クリニックというチームを整えることの重要性について動画でお話をしていますのでご覧ください。

クリニック経営の全貌を知ることの重要性②チームを整える

クリニックを健全に運営していくために重要な事

クリニックの受付スタッフに長く働いてもらう

クリニックを開院する前にクリニックのチームを整えることの重要性・行うことを学ぶための講座を4月から開講します。
「クリニック経営講座・基礎コース」

皆様のご参加を心からお待ちしております。

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