【今日の質問】医療法人の理事長です。現在医療法人で加入している生命保険の見直しを勧められています。どのように判断すればよろしいでしょうか? 【答え】はコチラ⇒
こんにちは。
三連休が終わり、急に秋らしくなってきました。
朝夕は気温が低くなります。
くれぐれも体調にお気を付けください。
今日のご質問は医療法人の理事長先生からいただきました。
10年前に医療法人で生命保険に加入しています。
今回、税理士さんを通じて紹介いただいた保険の代理店さんから加入の見直しを勧められています。
将来、解約をした時の返戻率は勧められている保険のほうが良いのですが、保険料が大幅に多くなってしまうので、なかなか判断ができません。
どこに気を付けて判断をすればよいのでしょうか?
というご質問です。
【答え】
生命保険の加入の目的を明確にし、必要保障額や保障期間、保険料、経費化できるのかどうかなどを総合的に考えで判断をするようにしましょう。
決して一面だけのメリットで加入の判断をすることはやめましょう。
生命保険に加入するときには、まずその目的を明確にすることが最も重要です。
最初に死亡保障がいくら必要なのかを考えます。
理事長先生に万一のことがあった場合、現在の借入金やリースの残高などを返済しなければなりません。
また理事長先生の死亡退職金・弔慰金を生命保険で賄う場合は、保険でどれぐらい準備するのかも考えておく必要がありますね。
その後に医療法人をどのように運営していくのかも想定しておいたほうがいいですね。
すぐに解散するのか、新しい理事長先生に来ていただくのか、M&Aするのかなど様々な方法があります。
それによって、どれぐらいの期間の経費を保険で賄わなければならないのかが計算できます。
死亡保険金は多くの場合、ほとんどが益金になり課税をされます。税金を引かれた後の金額が手元に残ることになりますので、このこともきちんと押さえておきましょう。
その次は保障期間はいつまで必要なのかを考えます。
借入金の返済やリースの返済はいつまで続くのか、その後に理事長先生が亡くなられたときに死亡退職金・弔慰金を何で賄うのかなどを考え、保障期間をいつまでにするのかを決めていきます。
次は生命保険のタイプを考えます。
タイプによって、保険料や経費化できるかどうかなどが違ってきます。
最も気を付けなくてはならない事の一つに、保険料の額があります。
生命保険を勧める方の中には、利益がこれだけ出ているので、その利益と同じくらいの保険料を支払ってもよいというニュアンスで話される方がいらっしゃいます。
これは大変危険です。
医療法人の利益と手元に残る資金の額は、ほとんどの場合一致しません。
特に借入金の返済額が大きい時には、利益が出ていてもお金が足りなくなることがよくあります。
このような時期に多額な生命保険料を払うことになると、お金が足りなくなり大変なことになってしまいます。(キャッシュフローの不足)
貸借対照表や損益計算書をきちんと確認し、長期的にキャッシュフローが十分あるかどうかを確認しながら勧めていただける方と一緒に考えるようにしましょう。
また、経費になる生命保険に加入すると税金を節約できることもあります。
しかし将来、解約した時には課税をされることがあるので、出口の対策をきちんと考えておくことも必要ですね。
このように生命保険は簡単そうに見えて複雑なところがあり、様々な角度から考えなければなりません。
生命保険は非常に重要なものではありますが、あくまでもリスクをカバーしたり、資産を蓄積するためのツールです。
生命保険のことだけを考えるのではなく、医療法人の今後の経営計画や、理事長先生のライフプランなどを総合的・長期的に考えると、その結果どのような生命保険に加入すればよいのかが見えてくるのだと思います。