医業承継を進めるにはまずお試し期間から
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
そろそろクリニックを子供に引き継ぐ準備をしなければ・・・・
という先生がいらっしゃいます。
子供が居ない場合は第三者に引き継ぎたいという先生もいらっしゃいますね。
ここまで精魂こめて育ててきたクリニックなので、その気持ちはよくわかります。
しかし、具体的に行動を起こしている先生はあまり多くありません。
引き継ぎたいという考えはあっても、相手にその意思さえ伝えていなかったり、話し合いの場を設けていないなど、最初の一歩を踏み出すことがなかなかできないようです。
また、意思を伝えても経営の現状や医業経営とは何をするのかなどをうまく伝えることができず、話がすすまないこともあります。
これは考えてみれば当たり前のことです。
院長先生は長年自分で経営をしてきましたので、そのやりがいや厳しさがよくわかっています。
経営の数字も把握していて、今後どのようにすればうまくいくのかというイメージも持っていると思います。
しかし、引き継ぐ相手はそうではありません。
勤務医は経営の数字を見たこともありませんし、診療以外の経営を経験したこともありません。
損益計算書など見たこともないでしょう。
そんな人にいくら口で説明しても、なかなか理解することはできませんね。
では、どうすればよいのでしょうか?
一つの方法として、引き継ぐ前にクリニックで経営を疑似体験するお試し期間を設けることをお勧めします。
週に一日でも良いので、クリニックで診療をしてもらい、経営者としての経験をしてもらうということです。
アルバイトの医師という立場ではなく、経営者の立場で診療してもらう。
そして毎月の経営の数字を確認し、課題を考え、一緒に解決する方法を考える。
そこで、様々な経営に関することを伝えていく。
そうすることで、クリニックの経営の状況や、様々な業務や課題、やりがいや厳しさ等を理解できるのではないでしょうか。
その結果、自分は開業医に向いていないと思うかもしれません。
クリニックは承継せず、勤務医でやっていこうと考えるかもしれません。
しかし、本人が実際に現場を体験して、自分で意思を決めたのであれば仕方がないのではないでしょうか。
クリニックを引き継いで経営するということは大変なことです。
会社で例えれば、経営を経験したことが無い社員がいきなり複数のスタッフを抱える会社の社長になるということです。
これで経営がうまくいくとは思えません。
会社では長年かけて次の社長を育てることが普通です。
そして何人もの幹部の中から最適と思える人を選ぶようにしています。
クリニックではそこまで行うことは困難かもしれませんが、開業医の適性があるのか、やりがいを感じるのか、将来に向けて努力できるのかなどを見極める期間を持つことは重要です。
医療業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。
新たにクリニックを開院しても、なかなかうまくいかないことも多いようです。
これはクリニックを承継しても同じことです。
承継をあわてて行うことは危険です。
クリニックの承継はじっくりと時間をかけて検討することをお勧めします。
親子間、第三者間ではなかなかうまくコミュニケーションがとれない、どのような段取りで承継を進めていけばよいのかわからないという方も多いようです。
当社ではそのような方々のサポートもさせていただいています。
ご関心のある方はご連絡ください。