後継ぎがいないので、クリニックを閉院することにしました。どのような手続きが必要でしょうか?
今日のご質問は長年クリニックを運営されてきた院長先生からいただきました。
後継ぎがいないので、クリニックを閉院することにしました。どのような手続きが必要でしょうか?
個人でクリニックを開設していますが、高齢になったため診療をやめたいと思います。
後継ぎがいないので、閉院したいと考えていますが、どのような手続きをすればよいのでしょうか?
というご質問です。
【答え】
診療所を閉院する時には大きく二つの手続きが必要です。
一つは診療所の閉院に伴う行政への手続き、もう一つはスタッフ退職に伴う社会保険などの手続きです。
行政への閉院の手続きには以下のものがあります。
①診療所廃止届(保健所)
②エックス線廃止届(保健所)
③保険医療機関廃止届(厚生局)
④麻薬廃止届(都道府県)
など
社会保険などの手続きは
①雇用保険適用事業所廃止届(ハローワーク)
②労災保険確定保険料申告(労働基準監督署)
③雇用保険喪失届(ハローワーク)
④雇用保険離職票(ハローワーク)
⑤健康保険喪失届+健康保険証回収(今回の場合は医師国保)
⑥スタッフの退職証明書の発行(自院)
など
また、事業を完全に廃止した時には、税務署に事業廃止届を行う必要があります。
また法律でカルテは5年間、レントゲンフィルムなどは3年間の保管が義務付けられていますので注意しましょう。
この他に医師会の退会手続きなども必要になりますね。
ここであげた事項は標準的なものですので、個別事情によってはさらに手続きが必要なケースも考えられます。
税理士さんや社会保険労務士さん、保健所や厚生局、都道府県の方々にも相談をしてみましょう。
その上で、行うべき手続きをリストにし、スケジュール表を作っておくと安心ですね。
ご自分で手続きが困難と思われる時には、専門家の方にお手伝いをお願いすることも検討しましょう。
先生ご自身は診療をやめることに意識が集中しますが、長年手伝ってくれたスタッフは社会保険などの手続きが非常に気になるものです。
手続きの全体像を早めに明らかにして、安心して働けるようにしてあげましょう。
今回のケースは個人開設の場合の手続きをお伝えしました。
医療法人の開設の場合は、このほかに法人をどのようにするのかを検討する必要があります。