信頼関係が築くクリニックの成功

先日の記事では、院長先生とスタッフ、スタッフ間の信頼関係を築くことが良いクリニックを作るための礎だということをお伝えしました。

「信頼関係を築く」と言葉にするのは簡単ですが、実際に行うのはなかなか難しいことです。

今回はどうすれば信頼関係を築けるのかについて深掘りをしてみました。

私が考える理想の姿を書いたのですが、あなたにこれが全てできているのですか?と聞かれるとNOと答えざるを得ません。

私自身もここに書かれたような経営者、人間になるべく日々鍛錬しているところです。

この内容に共感していただけるようでしたら、時間をかけて少しづつでも近づけるように行動していただけますと幸いです。

院長先生やスタッフの方々も様々な背景があり、それぞれ個性や能力、強み・弱みを持っています。

一人で実現することが難しいと感じられたら、周りの方々や組織の力を借りるなどしながら進めていただければと思います。

クリニックの中で信頼関係が築けない理由

クリニックの経営をする上で信頼関係を築くことが大切ですがなかなか難しいことです。
では、なぜ信頼関係が築けないことがあるのでしょうか。その主な原因の一つは、コミュニケーション不足です。

多忙な業務の中で、スタッフ同士が十分な対話を持つことが難しいことはよくあります。

しかし、コミュニケーションが不足することで、スタッフ間に誤解が生じたり、不信感が芽生えることがあります。

さらに、自分の価値観を他人に押し付けることも、信頼関係を阻害する要因の一つです。私たちは無意識のうちに「自分の考えが正しい」と思い込みがちですが、他者もそれぞれ異なる背景や価値観を持っています。

そのため、相手の立場や意見を理解しようとせず、自分の意見を押し通そうとすると、対立が生まれ、信頼関係が崩れてしまうのです。

信頼関係を築くために大切なこと

信頼関係を築くためには、まず「人はそれぞれ別の世界で生きている」という認識を持つことが不可欠です。

私たちはそれぞれ異なる価値観や経験、背景を持っており、そのために物事の見方や感じ方も異なります。

この違いを認めることが、信頼の第一歩です。スタッフ同士の意見が食い違う場面では、相手の考え方や価値観が自分とは違っていて当然だと受け入れ、それを尊重する姿勢を持つことが大切です。

たとえば、あるスタッフが仕事の進め方について意見を出したとき、それが自分の意見と異なる場合に、まずはその意見を聞き、なぜそのような考えに至ったのかを理解しようとする姿勢が重要です。

相手の意見に対してすぐに反対意見を述べるのではなく、「その考えにはどういった背景があるのだろう」と興味を持って聞くことが、相互理解を深める鍵となります。

このような姿勢は、クリニック内で「異なる視点を尊重する文化」を育む土壌となり、スタッフ同士が信頼し合える環境を作り上げます。

意見の違いを乗り越えるために

意見の違いを乗り越えるためには、ただ理解し合うだけでなく、対話を深めることが必要です。

信頼関係を築くためには、お互いの意見を擦り合わせ、最終的に共通の目標を持つことが大切です。

たとえば、クリニックの方針や業務の進め方について話し合う際には、異なる意見を単に受け入れるだけでなく、それぞれの意見を基にして、どうすればお互いが納得できる合意点に到達できるかを考える姿勢が求められます。

対話を通じて、全員が共有する目標を明確にし、それに向かって協力することで、信頼関係がさらに強固なものとなります。

感情のコントロールの重要性

信頼関係を築くためにもう一つ重要な要素が、感情のコントロールです。

人間関係の中では、時に怒りや不満といったネガティブな感情が生じることは避けられません。

しかし、これらの感情をそのまま相手にぶつけてしまうと、関係が悪化し、信頼を損ねることになります。

特に怒りは、相手に対する優位性を示したり、自分の意見を強制的に通そうとする際に現れる感情です。

この怒りの背後にあるのは、相手をコントロールしたいという欲求ですが、これでは真の信頼関係を築くことはできません。

怒りの感情をコントロールするためには、まず自分の感情がどのような状況で生じているのかを冷静に観察することが重要です。

たとえば、あるスタッフの行動に対してイライラを感じたとき、その感情をそのまま反応に移すのではなく、「なぜ自分はこの場面で怒りを感じているのだろうか」と一度立ち止まって考えることが大切です。

これにより、感情に流されず、冷静に状況を見つめ直すことができるようになります。

感情をコントロールする方法

感情をコントロールするためには、いくつかの具体的な方法があります。

その一つが、アドラー心理学の「怒りはコントロール可能な感情である」という考え方です。

アドラーは、怒りは自分自身が相手を屈服させるために作り出した感情であり、これは意図的に調整可能なものであるとしています。

この考え方を取り入れることで、怒りは外的な要因に左右されるものではなく、自分で選び取った感情であることを自覚できるようになります。

さらに、怒りを感じたときに、深呼吸をして冷静になる時間を作ることも効果的です。感情が高ぶっているときに反応してしまうと、後悔するような言動を取ってしまいがちです。

深呼吸や少しの休憩を取ることで、自分の感情をリセットし、落ち着いた状態で相手と向き合うことができます。

また、怒りを感じた場面では、相手に対して何かを強制するのではなく、相手の視点や背景を理解しようと努める姿勢を持つことが大切です。

相手がなぜそのような行動を取ったのか、どのような意図や事情があったのかを考えることで、相手に対する見方が変わり、感情も落ち着いてくることがあります。

信頼関係が築かれるプロセス

信頼関係は、一度のコミュニケーションで築かれるものではなく、日々の積み重ねによって形成されます。

小さな対話や日常の業務の中で、スタッフ同士が互いに理解し合い、支え合う経験が増えていくことで、自然と信頼が深まります。

重要なのは、失敗や意見の違いを乗り越えていくプロセスの中で、誠実に向き合い続けることです。

信頼関係を築くためには、相手を尊重し、対話を重視する姿勢を持ち続けることが必要です。

これにより、スタッフは安心して意見を述べることができるようになり、クリニック内での業務もスムーズに進むようになります。

信頼関係がある組織では、スタッフ一人ひとりが自分の役割に自信を持ち、チーム全体が高いパフォーマンスを発揮することができます。

以上のように、信頼関係を築くための方法には、互いの違いを尊重する姿勢や感情のコントロールが大きく関わっています。院長先生として、スタッフとのコミュニケーションを通じて信頼を深め、クリニック全体の成功に貢献していくためのリーダーシップを発揮してください。

院長先生のリーダーシップの役割の重要性

信頼関係を築くために、院長先生のリーダーシップは不可欠です。院長先生がクリニックの中心となり、率先してスタッフとの信頼関係を構築するための行動を取ることが、クリニック全体の風土に大きな影響を与えます。

リーダーである院長先生の行動が、クリニック内でのコミュニケーションやチームワークの指針となるため、院長先生自身のリーダーシップのあり方がスタッフの行動や意識に直結します。

率先して行動するリーダーシップ

まず、院長先生が率先してスタッフとコミュニケーションを図ることが、信頼関係を築くうえで重要です。

日常業務の中では、スタッフが院長先生に対して気軽に意見を述べたり、悩みを相談できる環境を作ることが大切です。

これは、院長先生がスタッフに対して常にオープンであること、意見やフィードバックを歓迎する姿勢を示すことから始まります。

オープンなコミュニケーションが、院長先生とスタッフの距離感を縮め、互いに信頼し合うための基盤を作ります。

さらに、定期的なミーティングや個別面談は、院長先生がスタッフ一人ひとりの状況や意見に真剣に向き合う機会を提供します。

クリニック運営では、日々の業務に追われがちですが、意識的にスタッフの声に耳を傾け、共に問題を解決する姿勢を示すことが、スタッフのモチベーションを高めるとともに、信頼関係を強化します。

このような定期的な対話を通じて、スタッフは「自分の意見が尊重されている」「院長先生が自分の成長や悩みに関心を持ってくれている」と感じることができ、それが結果的に職場全体の雰囲気を良くし、働きやすい環境を作り出します。

リーダー自身の成長意識

院長先生自身が「まだまだ成長していく必要がある」という謙虚な姿勢を持つことも、リーダーシップの重要な要素です。

医療の世界は常に進化し、新しい技術や知識が日々登場しています。

院長先生が自分の成長を止めず、学び続ける姿勢を示すことで、スタッフにもその姿勢が伝わります。

「院長先生でさえ、成長し続けているのだから、自分ももっと頑張らなければ」とスタッフは感じ、個々の成長意欲を刺激することができます。

この自己成長に対する姿勢は、単に医療技術や経営スキルの向上にとどまらず、スタッフとの関係性や組織運営においても同様です。

例えば、院長先生が「自分もまだまだ学ばなければならない部分がある」と認め、スタッフと対等な立場で意見交換を行う姿勢は、スタッフにとって大きな安心感と信頼感をもたらします。謙虚さと自己改善への意識は、クリニック全体の組織文化を形作り、スタッフ同士の関係性にもポジティブな影響を与えます。

組織風土を育むリーダーシップ

リーダーシップとは、指示を出して管理するだけではなく、組織の風土を育む役割も含まれています。

院長先生がスタッフに対して信頼と尊敬を示し、共に成長する文化を育てることで、クリニック全体が活気ある職場となります。

これは、日常的な小さな行動や言動の積み重ねから生まれます。

たとえば、スタッフの小さな成功や努力を認め、称賛することや、問題が発生したときにその原因を冷静に分析し、解決策を一緒に考える姿勢などが、組織の風土に大きな影響を与えます。

特にリーダーとして重要なのは、失敗やミスが起きた際の対応です。

スタッフがミスを恐れて萎縮する職場環境では、信頼関係が築かれることはありません。

むしろ、院長先生がミスを建設的に捉え、そこから学び、改善策を共に考える姿勢を見せることで、スタッフは安心して自分の意見を述べ、チャレンジできるようになります。

このような「挑戦を恐れない」風土を作ることが、クリニック全体の成長にとって重要です。

院長先生のリーダーシップがクリニック全体に与える影響

最終的に、院長先生のリーダーシップはクリニックの全体に影響を及ぼします。

院長先生が率先して行動し、コミュニケーションを大切にし、自己成長に努める姿勢を見せることで、スタッフもその影響を受け、前向きに行動するようになります。

クリニック内の信頼関係が強まれば、スタッフ同士の協力やサポートも自然と増え、組織全体が一体感を持って業務に取り組むようになります。

さらに、院長先生のリーダーシップがしっかりしているクリニックは、患者さんにも良い印象を与えることができます。

スタッフが安心して働ける環境であれば、患者対応も丁寧になり、クリニック全体の評価が上がるのです。

リーダーシップは内部のスタッフだけでなく、外部の患者さんや地域社会にも影響を与える、非常に重要な要素であることを理解し、日々の行動に反映していくことが大切です。

院長先生のリーダーシップは、クリニックの成功に直結する非常に重要な役割を果たします。スタッフとの信頼関係を築き、組織全体が成長していくためのリーダーシップを発揮することで、クリニックは患者さんにも選ばれる存在となり、さらなる発展を遂げるでしょう。

今回は私が理想と考えている信頼関係を築く方法をお伝えしました。

この中で最もお伝えしたかったことは、人を尊重するということが信頼関係を築くためには不可欠であるということです。

しかし、日々の忙しい業務をする中で常にそのような気持ちを維持し行動することは困難です。

また、この内容が理解できたからといって、すぐに人を尊重し切れるというものでもありません。

もしかすると一生かかっても理想の姿に到達できないのではないかとも感じています。

まずは長い時間をかけて訓練をし続けるという気持ちで取り組んでいただければ幸いです。

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