医療法人を閉めるときに、残った資産は全部国や地方公共団体にとられるので、法人を続ける意味がわかりません。医療法人を早めに閉めたほうがよいのでしょうか?
医療法人の理事長先生からのご質問です。
医療法人を閉めるときに、残った資産は全部国や地方公共団体にとられるので、法人を続ける意味がわかりません。医療法人を早めに閉めたほうがよいのでしょうか?
お父様の代から医療法人を開設され、現在の理事長先生が引き継いで運営されています。
お子様には医療法人を引き継ぐ予定はなく、医療法人を早めに閉めて少し多めの所得税を払っても個人に資産を移した方がよいのではないかと考えておられます。
【答え】
まず現状を確認し、今後の計画を考えながら一番よい方法を考えましょう。
平成19年の医療法改正以降に設立された社団医療法人は持分のない医療法人で、残った財産は国や地方公共団体のものになります。
それ以前に設立された社団医療法人は経過措置型の医療法人となり、持分のある医療法人です。経過措置型の医療法人は当分の間継続することになっています。
お父様の代に設立された医療法人は経過措置型の医療法人になっていると思われますので、残った財産が国や地方公共団体にとられてしまうことはないと思われます。(平成19年の医療法改正に伴う定款変更の内容がどのようになっているかの確認もしましょう。)
また、持分のない医療法人であっても、閉めるときに財産を残さないようにしておけば心配はいりませんね。
退職金などを支払い、医療法人の資産を0に近づけておけば問題はないでしょう。
また、医療法人を閉めてもすぐに資産を国や地方公共団体に移管することはありません。清算法人に移管し維持することができます。清算法人を運営しながら資産を個人に移すこともできます。
どのような医療法人であっても大事なことは、まず現状をきちんと把握することです。
そして、今後の計画を考え、どのような方法が一番ご自分にとってよいのかを検討しましょう。