医療法人と理事長が経営する会社の取引はできるのか?
ドクター総合支援センターの近藤隆二です。
医療法人と関係事業者(理事長や身内、またはそれらの方々が経営している会社や法人)は取引をしてはいけない。
こう考えている方がおられますが、これは間違いです。
取引をしてはいけないのではなく、取引基準がありそれに該当するものは都道府県に「関係事業者との取引の状況に関する報告書」を届けることが必要なのです。
このようなルールがあるということは取引をすること自体には問題がないということです。
この報告の目的は、適正な取引が行われているかどうかを確認することです。
では、適正な取引とはどのようなものでしょうか。
それは非営利性が担保できている取引です。
医療法人は非営利性を求められる法人です。
非営利性とは利益を出してはいけないということではなく、利益を配当してはいけない、不当な利益を与えてはいけないということです。
ですので、関係事業者に通常より不当に安く不動産などを売却したり、取引価格を世間並み以上に高くして関係事業者に不当な利益を与えてはいけないのです。
不動産鑑定士が正当に出した物件価格で売買する、近隣と同等の相場で賃貸契約をするなど、世間で行われているものと同等の値段で取引をしていれば不当な利益を与えるということにはなりません。
しかし、取引をすると行政処分を受ける、取引停止処分になってしまう(どことどこが取引停止になるのかよくわかりませんが)など根拠もなく過剰な不安を抱いている方もおられます。
関係事業者との取引をしても積極的に開示せず、報告をしない方が良いとアドバイスする方もいるようですが、これはお勧めできません。
まず報告義務がありますので、それを守っていないことが分かると行政から何らかの指導
を受ける可能性があり、以後の医療法人の経営に悪影響があるかもしれません。
そしていつか報告義務を満たしていないことで不安を抱えながら日々を過ごさなければなりません。
適正な取引をしてすっきりとした気持ちで義務をしっかり果たすようにしましょう。
関係事業者とはどのようなものなのか、報告義務がある取引の基準は何なのか、これをしっかり確認すると報告をしなくても良い取引だということが判ったりもします。
まずは、これらの情報をしっかり理解してください。
また、都道府県の担当者の中には報告義務の主旨を十分理解せず、はなから関係事業者との取引を否定するような誤った認識を持っている人がいることもあります。
誤った指摘があった場合に備え、適正な取引であることを証明できるようにしておきましょう。
この件に関する厚生労働省の通知は以下でご覧ください。
この資料の23に関係事業者の定義や報告義務がある取引の内容が詳しく書かれています。
(平成28年4月20日)(医政発0420第5号)(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
東京都のHPで報告書をご確認いただけます。
このテーマをさらに深く知りたい方は以下の書籍を参考にしてください。
今回のテーマについて動画でもお話ししていますので以下でご覧ください。